法律コラム

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相続税申告

はじめに

相続財産が一定金額以上ある場合、相続財産を取得した方は、10か月以内に相続税申告及び納税をしなければいけません。

そこで今回は、相続税申告について説明します。

01 相続税申告が必要な場合

相続税は、相続財産(相続開始前3年内の贈与(相続税法19条)、相続時精算課税に係る贈与(相続税法21条の15、21条の16)、生命保険金等のみなし相続財産(相続税法3条)を含みます。)の課税価格の総額(債務を控除します。)が基礎控除(3000万円+600万円×相続人の数。相続税法15条)を超える場合に申告する必要があります。

なお、配偶者控除(相続税法19条の2)は、配偶者について1億6000万円までの配偶者控除を認めているため、同額以下の財産を配偶者が取得する場合には相続税が課税されませんが、配偶者控除の適用を受けるためには申告が必要(申告要件)であるため(同条3項)、配偶者控除の適用を受ければ税額が0円となる場合でも、相続税申告自体は行う必要があります。

相続税申告が必要な場合、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告及び納税を行わなければいけません(相続税法27条1項、同法33条)。

02 準確定申告

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して申告と納税をすることになっています。

しかし、年の途中で死亡してしまった場合は、本人が所得税を申告することはできません。その場合、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、被相続人に代わって所得税の申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

事業を行っていた方や不動産所得を得ていた方は準確定申告が必要な場合が多いと思いますが、準確定申告が必要か否かについては、税理士に確認されることをお勧めいたします。

03 小規模宅地の特例

一般に「小規模宅地の特例」とは、個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人(又は被相続人と生計を一にする被相続人の親族)の事業の用又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地(又は宅地の上にに存する権利)につき、一定の要件の下で、限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額することができる制度のことをいいます。

もっとも、相続開始前3年以内の贈与や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、適用がありません。

この制度の適用がある場合には、充足する要件により、土地の評価額が80%または50%に減額されるため、地価の高い地域では、非常に大きな税額の低減効果を及ぼします。

04 相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」は、贈与者の直系卑属(子、代襲相続がある場合には孫)である推定相続人が、税務署長に届け出ることにより、相続時精算課税の適用を受けると、その年中において、上記の贈与者からの贈与により取得した財産に係る贈与税について、合計2500万円まで控除を受けることができる(つまり2500万円まで贈与税がかからない。なお、2500万円を超える部分については20%の税率で贈与税を課税する。)代わりに、上記の贈与者の相続開始時において、相続時精算課税の適用を受けた財産を相続により取得したものとして、相続税が課税される制度です(相続税法21条の12、21条の13、21条の15、21条の16)。

05 贈与税の配偶者控除

婚姻期間が通算20年以上である夫婦間において、一方から他方の配偶者に対して、日本国内にある専ら居住の用に供する土地(又は土地上の権利)若しくは家屋(「居住用不動産」)又は金銭を贈与した場合に、翌年3月15日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合、又は、同日までに当該金銭をもつて居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合には、贈与税については、課税価格から2000万円(なお、当該贈与に係る居住用不動産及び金銭が2000万円に満たない場合は、その合計額)を控除する、というものです(相続税法21条の6)。

なお、過去に、贈与により当該配偶者から取得した財産に係る贈与税につき配偶者控除を受けている場合には適用がありません。

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